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「触る」だけで肌に悪い?“肌の摩擦”のNG習慣と正しいケア方法【医師監修】

「触る」だけで肌に悪い?“肌の摩擦”のNG習慣と正しいケア方法【医師監修】

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「肌をゴシゴシするのはダメ!」といろんな美容系SNSや美容メディアで目にしますよね。摩擦が肌によくないことは、もはや美容の常識。日々蓄積する摩擦は、肌の乾燥やくすみなど肌トラブルの原因になります。
でも、洗顔やクレンジングで、どのレベルからが「ゴシゴシ摩擦」になるのかは、人によって認識が異なっていたり、気をつけているつもりでも普段の生活習慣が摩擦につながっていたりするんです…!

そこで今回は皮膚科医の木阪先生に、どのくらいの擦れが摩擦になるのか、見落としがちな摩擦リスクと肌の摩擦リスクを減らすための方法などを教えてもらいました。

監修:木阪美智子医師
監修:木阪美智子医師

日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医・指導医、アメリカ医師免許(ECFMG certificate)所持。“悩んでいる人には寄り添う誰かが必要。私はゴールまで共に走る伴走者“をモットーに、木阪クリニックの皮膚科・美容皮膚科医として勤務。

摩擦って肌にどんな悪影響があるの?

摩擦はなんとなく肌に悪いというイメージがありますが、具体的に肌にどんな影響を及ぼすのでしょうか? さまざまな肌トラブルの原因となる、摩擦の悪影響をいくつかご紹介します。

ターンオーバーが乱れて肌のバリア機能が低下

肌の外側にある表皮は4つの層からできていて、基底層で生まれた細胞が分裂しながら上の層へ移動して、角質層で垢(あか)となって剥がれ落ちる“ターンオーバー”という過程を繰り返しています。

肌に摩擦が起きると、本来は肌にとどまっているべき段階の角質層が剥がれ落ちてターンオーバーが乱れやすくなります。その結果、外的刺激から肌を守ってうるおいを保つバリア機能が低下。乾燥や肌荒れなど、さまざまな肌トラブルの引き金になってしまいます。

【具体的な肌トラブルの例】

乾燥、肌荒れ、赤み、湿疹など

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繰り返す摩擦による角質肥厚でゴワゴワ肌に

摩擦を繰り返すと、肌を外的刺激から守るために角層が厚くなり(角質肥厚)、肌がごわつくことがあります。角層が厚くなると肌の透明感が失われ、くすんで見えるというトラブルも。角質が厚くなることでターンオーバーが乱れ、毛穴の詰まりや黒ずみ、開き毛穴やニキビ、肌の乾燥やくすみなどにつながることもあります。

【具体的な肌トラブルの例】

ごわつき(角質肥厚)、くすみ、乾燥、肌荒れ、毛穴詰まり・黒ずみ毛穴、開き毛穴、ニキビなど

摩擦による炎症でメラニンが過剰に生成

本来は、外的刺激から肌を守る役割をはたしているメラニン色素。紫外線だけでなく摩擦も刺激とみなされ、肌を守るために通常よりも多くメラニンが生成されることがあります。過剰に生成されたメラニンは、シミやくすみなどの色素沈着となって肌に残ってしまいます。

【具体的な肌トラブルの例】

シミ、くすみ(色素沈着)など

肌の弾力にもダメージが!

摩擦のダメージは表皮だけに留まりません。表皮のさらに下にある真皮で、肌のハリや弾力性をサポートしているコラーゲンやエラスチンも、摩擦による継続的な刺激で破壊されてしまうことがあるんです。長年にわたる生活習慣の中のゴシゴシが、シワやたるみの原因に…。

【具体的な肌トラブルの例】

シワ、たるみ、ハリの低下など

特に注意したいのはシミなどの色素沈着です。摩擦による刺激でメラノサイト(メラニンを作っている細胞)が皮膚の深い層に落ち込み、メラニンが増加して色素沈着することがあります。

触る、擦るだけでも摩擦に? 角質層はどのくらい傷つきやすい?

私たちの皮膚の一番外側の表皮全体の厚さはおよそ0.2mm。さらに表皮の中でも最も外側にある角質層は、一般的なラップ1枚、コピー用紙の半分にも満たないほどの0.02mmほどしかありません。
これだけ薄く繊細なので、日常生活のちょっとした擦れでも、皮膚にとっては大きな刺激になってしまうんです。

少し指で触るだけ、ちょっと擦るだけでも角質層は刺激を受けているという意識を持って、スキンケアやメイク、普段の行動を見直してみましょう。

無意識に擦ってるかも? 肌摩擦NG習慣チェックリスト

摩擦が肌によくないとわかっていても、無意識のうちに肌を擦っていることは意外と多いもの。見落としがちな摩擦リスクをまとめたので、当てはまる項目があるか、以下をチェックしてみてください。

肌摩擦NG習慣チェックリスト

  • 洗顔料やクレンジング剤の量をついケチってしまう

  • 洗顔やクレンジング剤は指でゴシゴシ擦りがち

  • 洗顔料やクレンジング剤を洗い流すとき、水を溜めた手でゴシゴシしている

  • 顔や身体を洗った後、タオルで擦るように拭いている

  • シートタイプのメイク落としや、拭き取り化粧水を使っている

  • スキンケアの際にしっかりパッティングしている

  • 身体を洗うとき、ボディタオルを使っている

  • 顔を洗うとき、シャワーを顔に直接当てている

  • 美顔器、フェイスマッサージが習慣になっている

  • ファンデーションや下地などを、力を入れて塗り込んでいる

  • アイシャドウを指で塗っている

  • 頬杖をつく、顔を掻くなど顔を触る癖がある

  • 目をゴシゴシ擦るクセがある

  • よくうつ伏せで寝ている

  • マスクをつける機会が多い

ひとつでも当てはまる項目があったら、過度な摩擦が生じている可能性も。これから紹介する内容も参考にして、毎日のケアを見直してみましょう。

スキンケアから日常生活まで。肌の摩擦リスクを減らすための方法

昨日今日で変化がなくても、何カ月・何年と摩擦習慣を続けるうちに、さまざまな肌トラブルに悩まされようになってしまいます。毎日のスキンケアや日常生活でも極力摩擦を避けて、肌トラブルのないすこやかな肌を目指しましょう。

クレンジングは推奨量の2倍、たっぷり使う

メイクを落とすときは、肌を擦らないことが鉄則! クレンジングの量が少ないと摩擦が起きやすくなるので、多めに使うことを意識してみましょう。

シートタイプは摩擦が起きやすいので、どうしてもというとき以外は控えるのがベターです。

クレンジングは推量量の2倍を目安にたっぷり使うのがオススメです。

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しっかりメイクも角栓などの毛穴汚れも、やさしく溶かしてしっかり落とすクレンジングバーム

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肌の上でスッととろけて汚れに密着。毛穴のすみずみまで行きわたり、メイクだけでなく溜まった毛穴汚れや古い角質までしっかりオフし、クリアな素肌に導きます。
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※2.プロテアーゼ(整肌成分)
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洗顔は「シルクをやさしく押し洗いするように」!

洗顔は「シルクの布を押し洗いをするイメージで」行うことを推奨しています。指が肌に触れるか触れないかぐらいの力加減を意識してみてください。

洗顔料はたっぷりと泡立てて、擦らないよう丁寧に。泡の密度が高いほど皮脂などの汚れを吸着できて、摩擦レスでやさしく、かつきちんと洗えるんです。
すすぐときにシャワーを直接顔に当てたり、水をためた手でゴシゴシしながらすすぐのもNG。両手ですくったぬるま湯を顔につけるようにしながら、ぬるつきがなくなるまですすぎましょう。
もちろん、拭くときもゴシゴシ厳禁! タオルに水気を吸わせるイメージで、やさしく押さえるように拭きましょう。

もっと詳しく知りたい人はこちらもチェック! 泡立てのコツなどもご紹介しています。

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ピーリングなどの角質ケアアイテムは使い方に注意

成分や濃度によっても異なりますが、ピーリングや拭き取り化粧水などの角質ケア系アイテムは使い方に注意。推奨されている使い方を守り、肌の状態を見ながら正しく使いましょう

ピーリングなど角質ケアの後は、保湿と紫外線対策を忘れずに行いましょう。

パッティングNG! やさしく保湿スキンケア

手のひら全体で包み込むように、十分な量を角質層まで浸透させましょう。

化粧水や美容液などのスキンケアアイテムの使い方も見直しを。パンパンと肌を叩くようなパッティングは避け、手のひら全体でやさしく包み込むようになじませましょう
一度にたくさんの量をつけるのが難しいと感じたら、2~3回に分けてもOKです。

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メイクも注意! 擦らずやさしい力加減で

意外と多いのが、メイクのときの摩擦。ファンデーションのスポンジは横に滑らせるのではなく、肌に対して垂直に当ててトントンとなじませましょう

また、アイシャドウは指よりもブラシで塗る方が摩擦が少なく済みます。どうしても指で塗りたいときは、せめて力の入りにくい薬指を使いましょう。

使うアイテムが増えるほど摩擦が起きやすくなります。メイクで使うアイテム数を減らすこともひとつの摩擦対策になりますよ。

頬杖、目をゴシゴシ…クセを少しずつ直す意識を

頬杖や目を擦るクセ、うつ伏せ寝など、日常的にやりがちな摩擦行為は無意識にしていることが多いもの。まずは自分のクセを把握することが大切です。自分が顔を触っている、顔に何かが触れていることに気付いたらすぐやめて、少しずつ改善していきましょう。

顔は触らないのが一番です。特に花粉症の方は時期によっては辛いと思いますが、点眼薬や内服薬を適切に使用して、できるだけ掻きむしるのはやめて、摩擦を防ぐことが理想です。

マスクのつけ方や選び方を見直そう

花粉症や仕事上の都合などで、人によってはつける機会がまだまだ多いマスク。花粉やウイルスを侵入させないためには肌に密着させる必要があるので、ある程度の摩擦は仕方ありません。

室内ではマスクを外す、きついゴムのマスクは避けるなどの工夫を取り入れて、少しでも摩擦が起きないように気をつけましょう。

マスク装着時は顔面の筋肉を動かさないようにすることも、摩擦を防ぐという意味では有効です。無理のない範囲で意識してみてください。

メガネは軽いものがオススメ

ピンポイントの話にはなるものの、意外と見落としなのがメガネ!
メガネをかけている人は、鼻パッドが当たる部位に強い色素沈着が起こることが多いのだそう。

視力調整でメガネをかけている場合、外すわけにはいかないですよね。せめて軽いメガネを使うことをオススメしています。

普段からメガネやサングラスをかけている人は、なるべく軽いものを選ぶようにしてみてくださいね。

肌の摩擦についてのQ&A

これは摩擦、このくらいならセーフという判断に個人差がある「肌の摩擦」。やっていて意味があるのか、効果実感も薄いスキンケア対策なだけに、いろいろ不安や不満もありますよね。肌の摩擦にまつわる疑問のあれこれを先生に聞いてみました。

Q.やさしい洗顔だと、皮脂や毛穴の汚れが取れない気がする…摩擦と毛穴ケアの上手なバランスの取り方が知りたい!

A.「摩擦レス」が大事とはいえ、まったく洗わないと汚れは落ちません。泡の弾力を使って汚れを浮かしつつ、肌に触れるか触れないかくらいの力で、やさしくマッサージするようになじませましょう。

また洗顔料の種類によっては、過度に擦らなくてもきちんと汚れが取れるものもあります。泡が濃密で弾力があり、へたりにくい洗顔料を選ぶようにしましょう。

はじめから濃密でへたりにくい泡の状態で出てくるタイプの洗顔料も選択肢になります。またクリニックでのお手入れになりますが、超音波クレンジングもオススメです。超音波の乳化作用によって、摩擦なく表皮の古い角質と毛穴の汚れをきちんと落とすことができます。

Q.摩擦レスなスキンケアって、すぐに効果がでなくて続かない…どれくらい続ければ実感できる?

A.摩擦レスなスキンケアの効果は、個人の肌状態や生活環境、使用するスキンケアアイテムによっても変わります。肌の乾燥や赤み、肌荒れなどについては、肌のバリア機能が回復すれば比較的早く改善が見込めるでしょう。
長期的な摩擦ダメージの蓄積が原因で起きるたるみやシワ、シミなどは、すぐには実感できないかもしれませんが、これ以上の悪化を防ぐという意味でもコツコツ継続することが大切です。

まずは、一般的なターンオーバーの日数=28日ほど続けてみましょう。勉強やダイエットと同じで、継続することが結果につながりますよ。

Q.EMSなどの美顔器は、使用頻度を守って使っても摩擦になる? 注意すべきポイントは?

摩擦を軽減するためには、ジェルや美容液をたっぷり使いましょう。美顔器自体の正しい使い方を今一度確認して、自己流にならないようにすることも大切です。

「摩擦レス」が美肌の近道! 大切な肌にはやさしく触れることを心がけよう♡

とっても薄く繊細な角質層は、日々の暮らしの中で無意識のうちに傷つきがち。ダメージをゼロにすることはなかなか難しいのが実情だけれど、日々のケアで「摩擦レス」を意識することが将来の美肌につながります。

毎日のスキンケアやメイクではやさしく肌に触れることを意識して、大切な肌を摩擦のダメージから守りましょう♩

イラスト/町田李句
構成・文/新井美由紀、vivace

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